前回の記事で円安(円高)の基本的な考え方について書きましたが、今回は過去の為替データをもとに円とドルの関係について書いていきます。
円を海外で使おうとすると基本的には現地の通貨に交換する必要がありますが、通貨を交換する際の交換比率のことを為替相場といいます。1ドル○○円とはこの交換比率のことです。これは基本的には需要と供給のバランスで成り立っています。需要と供給のバランスに影響する様々な要因があるので【図1】をみながら確認していきましょう。
【図1】
為替変動の要因
①為替介入
プラザ合意・・・1985年にG5(先進5か国の蔵省・中央銀行総裁会議)で発表された為替安定化に関する合意のことです。当時ドルが高かったので、プラザ合意で円高・ドル安に誘導していくことが合意されました。図の通りプラザ合意以降は急速に円高(ドル安)が進みました。自国の通貨を円高・円安のどちらかに誘導していく政策は為替に大きな影響を与えます。
②貿易収支
日経平均市場最高値・・・1989年に日経平均が38,915円の値をつけて史上最高値を更新しました。当時は世界の時価総額企業ランキングにおいて32社が上位50社の中にはいっており、その中に自動車や家電メーカーなどの輸出企業も多数はいっていました。非常に輸出が好調で貿易収支(輸出と輸入の差)がかなり黒字となっていましたので輸出増加→外貨(ドル)の獲得→円に交換→円高(ドル安)という流れがありました。
③金利差
日銀ゼロ金利政策導入・・・一般的には金利が高くなった国の通貨は高くなる傾向があります。例えば金利1%と5%の国があるとすると、高金利の通貨を買って利益を得たいと思う人が増える傾向にあります。金利が高い方の国は通貨の需要が増えて価値が上がります。逆に金利が低い方の国は通貨の需要が減るので価値が下がります。金利を低く誘導したり、お金の量を増やす(価値が下がる)政策は基本的には円安に向かいます。
④経済に大きな影響がある場合
リーマンショック・・・大きな事件があり経済に影響があると為替にも影響があります。リーマンショック後に世界同時不況に発展しました。アメリカが震源地でしたが、日本を含めて世界の国々が影響を受けました。経済を立て直すのにかなりの年数がかかったのを覚えています。紛争や戦争によって経済に影響がある場合も同様なことがいえますので、現在のロシアによる軍事進攻やコロナショックは経済に大きな影響を与えています。
⑤1ドル75円32銭・・・2011年10月31日に1ドル=75円32銭の値をつけました。この金額がドルに対する円高の最高値となります。この時は海外の車や時計の購入や海外旅行が非常に有利でしたし、外貨預金や一時払いのドル建ての保険販売が好調でした。
これまで代表的な為替相場の変動要因をあげましたが、実際の相場では様々な要因が同時に存在(上記以外にもあります)するので為替を予想するのは難しいと言われます。1つのニュースだけで円安(円高)にどちらかにすすむ判断はできませんが、基本的な知識をもとにニュースから為替がどちらに進むか考えると楽しめるかもしれません。
今回は円とドルの関係について過去のデータをもとに書きました。今回の記事について感想やご意見などございましたら下記アンケートに回答ください。今後の参考にさせていただきます。